市民とともに・1月号(新春市長対談)
※この市長対談は、広報紙「かごしま市民のひろば」第536号(平成24年1月号)に掲載されたものです。

新春にあたり、北京オリンピック男子競泳メドレーリレー銅メダリストで、スポーツキャスターとして活躍中の鹿児島市出身の宮下純一さんと国体200メートル平泳ぎで4連覇を達成するなど、国内外の大会で活躍する鹿児島実業高校3年生の福留景子さんをゲストに迎え、昨年4月に新しくなった鴨池公園水泳プールで対談を行いました。
宮下さんは「鹿児島から多くのアスリートが育つためのお手伝いをしたい」と言えば、「宮下さんや福留さんに続く選手が育つ環境を作りたい」と答える市長。和やかな雰囲気の中で会話がはずみました。

宮下 純一氏
昭和58年、鹿児島市生まれ。筑波大学卒業後、ホリプロに入社。平成20年の北京オリンピックでは100m背泳ぎで決勝8位入賞、400mメドレーリレーでは銅メダルを獲得。引退後はタレント・スポーツキャスターとして活躍する一方、(財)日本水泳連盟競泳委員として次世代の選手指導・育成にも携わっている。

福留景子さん
平成5年、鹿児島市生まれ。鹿児島実業高校3年生。中学2年のとき200m平泳ぎで国内中学新記録を樹立。高校2年のときには国内高校新記録を樹立。2010年FINA/ARENA競泳ワールドカップモスクワ大会優勝、国民体育大会4連覇など実績は多数。
オリンピックイヤーを迎えて
○市長 オリンピックイヤーの新春を迎え、新しくなった国際公認の鴨池公園水泳プールで銅メダリストの宮下さんとロンドンオリンピック出場を目指す福留さんとお話できる機会を持て大変うれしく思います。
○宮下さん こちらこそわたしたちにふさわしい場所で対談できてとても光栄です。旧鴨池公園水泳プールは高校生まで練習や大会で何度も泳ぎ込んだとても思い出深い場所です。今回、初めて訪れましたが、このようにすばらしい設備を持つプールに生まれ変わったのは驚きです。
○福留さん わたしも子どものころから思い出の多いプールです。昨年4月の落成式(らくせいしき)では泳ぎ初めを務めさせていただき感激しました。大会で訪れる国内のどのプールにも負けない立派なプールだと感じています。
○市長 ありがとうございます。世界レベルのお二人に認めていただき光栄です。最新の設備を備えたこのプールをオープン以来、幅広い年齢層の皆さんに利用していただいていますし、県内外の選手が出場する大規模な大会も開催されています。
○宮下さん 鴨池公園水泳プールを活用して鹿児島の水泳競技のレベルがアップし、日本を代表する選手たくさん出ることを期待します。
○市長 さて、今年7月にいよいよロンドンオリンピックが開催されます。前回の北京(ぺきん)オリンピックでの宮下さんの功績を讃(たた)えて、初の「鹿児島市スポーーツ栄誉(えいよ)賞」を贈らせていただきました。授賞式のときに宮下さんから銅メダルを首に掛けさせていただいた感激とその重さを今でも覚えています。
○宮下さん 銅メダルを獲得(かくとく)した上に、市長から第1号の「スポーツ栄誉賞」をいただき、感激しました。早いものでもう4年経つのですね。
○市長 宮下さんがオリンピック出場を目指し、努力を積み重ねてきたとお聞きしました。
○宮下さん オリンピック出場は子どものころからの夢でしたから。最初の目標は平成16年のアテネオリンピックへの出場でしたが、男子の競泳選手のピークと言われていた大学3年生で臨んだ選考レースで一歩及ばず、出場を果たせませんでした。一度は水泳をやめようと思い悩みましたが、小さいころからの夢をあきらめきれず、4年後の北京オリンピックへの再挑戦を決心しました。
○市長 わたしの好きな言葉は、「人事(じんじ)を尽くして天命を待つ」です。北京オリンピックでの銅メダルの獲得に向けて取り組んだ宮下さんの姿にその言葉が当てはまると思いますが、いかがですか。
○宮下さん 北京オリンピックまで残り10カ月を切っても、なかなかタイムを伸ばすことができず、オリンピックを目指したことに後悔(こうかい)をも感じ、涙ながらに母に電話をかけたときに母から「昔のように水泳を楽しんでいるの。高校のときはもっと楽しそうに泳ぎに行ってたがね」と言われたんです。そのとき、不思議と気持ちが楽になり、水泳を楽しもうと思えるようになりました。
だから、北京オリンピックでは緊張よりも夢の大舞台で泳げることの喜びやワクワク感が強かったですね。まさに「人事を尽くして天命を待つ」の心境で臨んで、結果は銅メダル。水泳を楽しめたと思いますし、「水泳を続けてきてよかった。夢をあきらめなくてよかった」と心の底から思いました。
○市長 福留さんにとって特別な思いで迎える新年だと思います。ロンドンオリンピック出場への意気込みはいかがですか。
○福留さん オリンピックはあこがれの舞台ですし、ロンドンオリンピック出場を目標に練習に励んでいます。プレッシャーを感じないように、選考会では自分のレースができればいいと思います。そのために自分の決めた夢の実現のために努力したいと思います。

授賞式での市長と宮下さん
水泳を始めたきっかけ
○市長 さて、お二人がいろいろなスポーツの中から水泳を選ばれたのは、どんなことがきっかけですか。
○宮下さん 幼稚園に入ったころは水に顔がつけられませんでした。5歳のとき、母が先生に「小学校では水泳の時間があるから」と言われ、無理やりスイミングスクールに通い始めたのがきっかけです。銅メダルを取ったとき、母はもちろん幼いころのわたしを知っている人たちは大変驚いたようです。
○福留さん 元国体選手である父の影響で、3歳からスイミングスクールに通い始めました。小学生までは練習はあまり好きでなく、遊び感覚で通っていました。中学校に入ると、4歳年上の姉や高校生と練習をする機会が増えました。そうなると先輩たちの姿をみて「かっこいい、あんなふうに泳ぎたい」とあこがれ、練習も真剣に取り組むようになりました。
○市長 福留さんは練習をどれくらいされているんですか。
○福留さん 平日は4時間泳いで、背筋や腹筋を鍛えるトレーニングを1時間半しています。
○市長 身体の細い福留さんを見ると、どこにそのような馬力があるのかと思います。
○宮下さん そうですね。彼女が国体200メートル平泳ぎ決勝で逆転して4連覇を達成したのはすごい。そのときの気持ちはどうでしたか。
○福留さん 負けるかなと思いましたが、タッチの差で勝てて本当にうれしかったですね。これまでの努力への勝利の女神様がごほうびをくれたのかなと思っています。国体の4連覇や高校最後のインターハイで100・200メートル平泳ぎ2冠を達成することができましたが、高校3年間の出場種目ですべて優勝することができなかったことが悔やまれます。

スポーツの魅力
○市長 わたしはスポーツをすることも観戦することも好きですが、お二人はスポーツの魅力は何だと思われますか。
○福留さん スポーツ全般に言えることですが、自分ががんばった分だけ、タイムや成績に反映することです。わたしは「努力は必ず報(むく)われる」と信じて練習しています。中学1年生のとき、コーチと「生涯目標」を立てました。目標実現のために1年ごとに課題を設定し、それを一つずつ克服(こくふく)していくんです。スランプから抜け出せず苦しむこともありますが、課題を一つずつ克服していくことで自信が積み重なり、自分を成長させてくれると思います。
○宮下さん スポーツは夢や感動、勇気を伝える魅力を持っていると思います。わたしは水泳を通じて多くの人とのすばらしい出会いやあきらめず努力を続けることの大切さ、自分に対する厳しさを知ると同時に、人への思いやりや感謝する心など、多くの人生の大切な教訓を得ることができました。
○市長 お二人の話を聞いて、スポーツは人を育てること、多くの人に勇気や感動を与えるということがよくわかりました。ぜひ、未来を担(にな)う多くの子どもたちにスポーツをしてほしいと思いますね。
まちづくりの新たなステージ
○宮下さん 九州新幹線全線開業から3月で1年を迎えます。わたしも仕事などで利用して、鹿児島中央駅に降り立つと「ふるさとに帰ってきた」とほっとすると同時に、鹿児島のまちの躍動を感じます。これからもっと発展するよう期待していますが、今後の鹿児島市のまちづくりについて教えていただけますか。
○市長 昨年待望の九州新幹線が全線開業し、中国・関西方面からの観光客が大幅に増加するなど、地域経済にプラスの効果が現れています。開業2年目となる今年はこの効果を持続拡大していくことが重要になると思っています。桜島や錦江湾に代表される雄大な自然や豊かな歴史・文化、豊富な温泉や特色ある食文化など本市の持つ地域資源にさらに磨(みが)きをかけ、市民が「住んでよかった」と愛着と誇りを持てるまち、観光客には「また訪れたい」と思ってもらえるような魅力と個性あふれるまちを創造していきたいと考えています。
○宮下さん スポーツの振興とまちづくりについてはいかがでしょうか。
○市長 本市ではこれまでも世界自転車競技選手権やワールドカップバレーボールなど世界レベルの大会、各種スポーツの全国大会が開催されています。新幹線全線開業で今後ますます交流人口の増大が期待される中、スポーツを通じたまちづくりの視点も重要だと思います。本市では市民の皆さんが生涯を通して身近にスポーツを楽しめるよう施設の整備や市民参加型のスポーツのイベント開催などにも積極的に取り組んでいきたいと考えています。また、平成32年に予定されている国民体育大会の本県開催を見据(みす)えた選手の育成など、競技スポーツの推進を図ることに一層力を注ぐことも必要でしょう。そうした取り組みを通して、スポーツ界を代表する多くの選手が育つ環境をつくりたいですね。
○宮下さん わたしも鹿児島から多くのアスリートが育つことを期待していますし、お手伝いできることがあれば協力させていただきたいと思います。

森博幸市長
“豊かさ”実感都市・かごしまを目指して
○市長 お二人と対談して、大きな勇気とパワーをいただきました。最後に、それぞれの新年の抱負(ほうふ)と、市民の皆さんへのメッセージをお願いします。
○宮下さん わたしは鹿児島のシンボル・桜島を携帯電話の待ち受け画面にしているほど、ふるさとが好きです。食べ物はおいしい。人も温かい。景色も温泉も最高。県外の友人にも「ぜひ鹿児島に一度行ってみて」と勧めています。鹿児島市がこれからも発展し続けるよう、わたしもさまざまな機会を捉えてPRしていきます。またスポーツキャスターとして、スポーツの魅力やすばらしさを全国の皆さんに伝えていきたいと思うし、わたしを育ててくれた水泳の楽しさをより多くの人に伝え、日本水泳界の発展に貢献していけたらいいなと思っています。
○福留さん 4月から鹿屋体育大学に進みますが、入学後すぐにオリンピック選考会があるので、日本代表に選ばれるよう、これからの3カ月間を大事に悔いのないよう練習していきますので応援をよろしくお願いします。
○市長 ありがとうございます。今年、本市では今後10年間のまちづくりの指針となる第5次総合計画がスタートします。計画では、「人・まち・みどりみんなで創る“豊かさ”実感都市・かごしま」を都市像として掲げており、その実現に向けて市民と協働(きょうどう)・連携(れんけい)して全力で取り組んでいきます。宮下さんと福留さんにはそれぞれの立場で鹿児島の発展のためにご協力いただきますとともに、あらゆる機会を通じて鹿児島の魅力を発信していただきますようお願いします。
お二人の今後ますますの活躍を60万市民とともに応援しています。本日は貴重なお話ありがとうございました。

与次郎の長水路にて
広報課
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