基本的に自然の一部を切り取って見せるという側面の強い風景画や人物画と比べ、静物画はまったく異なるアプローチを取ります。テーブルなどの上に、何をどのように配置するのか、つまりモチーフを構成する時点からすでに制作は始まっているのです。
花瓶や果物などの形作る構図、画面全体での色の響き合い、そしてどこにどのような光を当てるのか、画家は試行錯誤を続けます。その意味においては極めて人工的な絵画ジャンルであり、静物画がフランス語では、ナチュール・モルト(死んだ自然)と呼ばれることとも関連があるでしょう。一方で興味深いことに、構図を決めるに際しては、黄金分割のような定められた法則よりも描き手の勘の方が何より重要だという点が、多くの静物画家によって指摘されています。
今回のミニ特集では、それぞれの静物画の構図を考察した解説キャプションも添えました。写実の限りを尽くした安達真太郎や伊牟田経正から、奔放な色遣いの堀之内一誠、抽象化を進めた山口長男まで、郷土ゆかりの洋画家たちによる静物画の競演をお楽しみ下さい。
※これまで当館では、所蔵品展ごとに一室を使って特集展示を行ってきましたが、郷土作家の作品をより多くご覧になりたいというお客様の声に応え、黒田清輝や藤島武二、橋口五葉などの展示点数を増やし、特集展示の方をコンパクトにまとめてお届けすることと致しました。今後とも所蔵品展をどうぞご愛顧ください。
■会期
2020年10月13日(火曜日)~ 12月20日(日曜日)
■会場
2階常設展示室
安達真太郎《ドライフラワー》1967年
伊牟田経正《或る風景》1970年
堀之内一誠《窓辺》1977年
ピエール=オーギュスト・ルノアール《バラ色の服を着たコロナ=ロマノの肖像》1912年頃
《天保年間鹿児島城下絵図》 鹿児島市指定文化財
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最終更新日:2020年10月29日
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