展覧会概要
当館のコレクションを紹介する所蔵品展では、黒田清輝、藤島武二、和田英作をはじめとする鹿児島ゆかりの作家の作品、そして印象派からポップアート以降まで19~20世紀の美術の流れをたどる展示を行っています。
ミニ特集では、令和6年度に収蔵した新たな作品から、人形をモチーフにしたシリーズなどで独自の世界を描き続ける鹿児島市出身の画家・藤山ハンの作品を特集します。
藤山は青年期に北海道、東北への旅をきっかけに画家を志し、独学で絵画の道を歩みました。1960年代から、人形や屠殺場の光景をモチーフに、内なる世界や、生と死を深く眼差す連作を描き始めます。その独特の表現は、見る者の心を強く揺さぶり、シュルレアリスムの詩人・画家の瀧口修造や、映画作家のドナルド・リチーらに高く評価されました。藤山の作品に通底するものとして、可視の世界と不可視の世界との往来があります。藤山は母の死に伴い訪れた奄美大島で、「見えていながら、どうしても見えないものの世界や、すぐ近くに有りながら、手の届かぬ深淵が、確かに存在する」という確信を経験したといいます。作品を見つめると、具象的な表象のなかに、かたちのないもの、目には見えぬものが浮かび上がってくるように感じられます。それはまた、見る者それぞれの内面と呼応するものでもあるでしょう。
このたび新収蔵されたのは、「人形」や「屠殺」シリーズといった1960~70年代の代表的な初期作品を中心に、「人形」シリーズの展開や「ポスト」という新たなシリーズが生み出された90年代までの作品10点です。
この機会にどうぞご覧ください。
主な展示作品
藤山ハン《人形の肖像》
藤山ハン《隔離室》
藤山ハン《人とポストの肖像》
オディロン・ルドン《オフィーリア》
ワシリー・カンディンスキー《二つの黒》
和田英作《田園の夕暮れ》
橋口五葉《神戸の宵月》
薩摩焼《薩摩金襴手大花瓶》
最終更新日:2025年9月13日
休館日カレンダー
常設展観覧料など
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※毎月第3日曜日は小・中学生常設展示観覧料無料