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更新日:2025年2月1日

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第7回鹿児島市景観まちづくり賞

令和6年6月24日から8月30日まで募集した第7回鹿児島市景観まちづくり賞には建築部門19件、屋外広告部門6件、景観部門5件の応募をいただきました。鹿児島市景観まちづくり賞審査会で審査し、決定した建築部門3件、屋外広告部門3件、景観部門3件、特別賞1件について紹介します。

第7回鹿児島市景観まちづくり賞パンフレット(PDF:4,960KB)

表彰物件

1.建築部門

キラメキテラスヘルスケアホスピタル

  • 所在地:高麗町43番30号
  • 建築主:医療法人玉昌会キラメキテラスヘルスケアホスピタル
  • 設計者:株式会社三菱地所設計
  • 施工者:松尾建設株式会社
  • 用途:病院
  • 構造等:鉄筋コンクリート造、一部鉄骨造
  • 延面積:9,671.57平方メートル

キラメキテラスヘルスケアホスピタル

鹿児島市交通局跡地の再開発地区の一角に建てられた,198床の回復期・慢性期を担う病院である。キラメキテラスと名づけられた再開発は,高度急性期機能を備える別の病院とともに,ホテルやマンション,小売店と立体駐車場で構成されている。

外観を形成するのは,鹿児島の厳しい日射に対応するために設置された,軒の深い庇の重なりである。この建物は,市電の通る大通りから見ると,もう一つの病院の奥に立っているのだが,7層にも積み重なる水平線が,のっぺりとした箱形の建築が多い街中にあって,抑制された色使いとともに,控えめながらも印象的な表情をこの建物に与えている。

病院の中に入ると,慢性期の患者たちへの配慮に満ちた様々な工夫が溢れている。まず計画として特徴的な点は,南北に長い病棟を3つのブロックに分けたゾーニングである。通りに面した南側のブロックは病室と共にデイコーナーやリハビリスペース,真ん中のブロックはスタッフゾーンを病室で挟みその東西に縁側廊下を巡らせていて,北側は,ストレッチャーの入るエレベーターとともに中廊下の通常の病棟の形状としている。最もユニークな真ん中のブロックでは,縁側廊下やスタッフエリアを使い上手く動線を機能化させており,ここにナースステーションのような役割を持たせて両翼を管理しており,難しい計画を上手くまとめている。これらの計画によって,病室から2方向に開く動線の自由度や縁側廊下を使った開放的な回遊,深い軒のテラスによる園芸活動など,入院中の患者とって貴重となる日常的な快適さを実現させている。

最後に,景観まちづくりとしては,街区全体の印象も重要になる。今後にむけて,意匠だけではなく運用のルールも含め,キラメキテラスの全体性を獲得していっていただきたい。

enefil吉野

  • 所在地:吉野町9100番地1
  • 建築主:日本ガス株式会社
  • 設計者:トラス・アーキテクト株式会社
  • 施工者:日本ガス住設株式会社
  • 用途:事務所
  • 構造等:木造(木質ラーメン構造)
  • 延面積:474.47平方メートル

エネフィル吉野

私たちは近代から現代に至る間,町中から少しずつ離れて郊外に住宅を求め,都市を拡張してきた。この建物は,そのように郊外住宅地として開発されてきた吉野台地に建つ,都市ガスを扱う会社のサービスショップである。

特筆すべきポイントは,建築の配置および外構の計画にある。バス停に面する正面は,歩道からセットバックした空間に多くの木々が植えられ,歩道に接して設えられたベンチとともに緑陰の気持ち良い庭園として,一般歩行者に提供されている。また,木々に囲まれ湾曲した駐車場へのアプローチを抜ければ,堂々とした桜島への眺望が一気に開かれる。吉野台地らしい,鹿児島の人々が誇るべき風景である。また,駐車場以外の部分には,芝生に覆われた雨水を浸透させるスペースも設けられ,豊富な植栽を育むための環境を整えるのみならず,雨水をすぐに排出せず敷地の中で貯留する治水的な効果とともに,牧場であった吉野の原風景をも想起させてくれるものとなっている。建築そのものは,周辺の街並みに馴染むようにボリュームを抑えつつ,鹿児島県産材のみで構成する大断面の柱と梁の木質ラーメン構造によって,開放的な室内空間を実現している。地材地建を達成するだけではなく,使用材料の統一化による廃棄物の発生を抑制したり,天井や軒裏は構造体を表しの仕上げにすることによって再利用できる建材の割合を高めたり,環境への配慮をいくつも積み重ねていることも素晴らしい。屋外に開放するガラス面を多く採用しているが,外構の植栽や木格子のルーバーなどによって,日射コントロールとともに視線のコントロールも行なっている。

郊外住宅地に立つ営業所として,景観や環境という点から,一つのモデルになりうる建築である。豊かな植栽や木質の建築は,これからも日々,その表情を変えていくだろう。美しく歳を重ねながら,吉野の地域を象徴する施設として,さらに育っていくことを期待している。

本願寺鹿児島別院 城西出張所

  • 所在地:城西一丁目26番19号
  • 建築主:本願寺鹿児島別院
  • 設計者:株式会社みのだ設計
  • 施工者:内村建設株式会社
  • 用途:寺院
  • 構造等:鉄筋コンクリート造、一部鉄骨造
  • 延面積:1,421.67平方メートル

本願寺鹿児島別院城西出張所

交通量の多い交差点に面し,住宅密集地の中に立つ寺院である。昔から,寺は地域コミュニティの中心であったが,現代的な街並みの中にありながら,寺院が有している本来的なあり方を感じさせてくれる建築である。

まず,周辺環境を丁寧に読み取った構え方が素晴らしい。面する交差点は複雑な形状をしていて,特に歩行者にとって使いやすいものではない。その中にあって,建築の主要機能を2階以上に上げることによって,一般の方も利用できる通り抜け動線を1階に確保し,施設利用者だけにとどまらない利便性を地域に提供している。さらに,この通り境内は,一般にも開放されている会議室などにも面しているが,灯篭を吊るす器具などが事前に設置されており,人々が集まる場所であるということがしっかりと考えられた空間づくりが行われている。一方,寺院の正面玄関は2階になるのだが,開放的な大階段や適切なサインによって,利用者を惑わせることもないだろう。交差点から見た時にこの建築の顔となるのは,プロフィリットガラスに覆われ,駐車場へ大きく斜めに張り出した3階部分であろう。この内部が,住職の住居になっているとは驚きである。このプロフィリットガラスは,住宅らしさの表出を避けると同時に,目の前の交差点との適度な距離感を生み出し,強い西日を制御しつつ通風も確保して居住環境を高める工夫である。夜は,住宅の内部照明がガラス越しに漏れ,交差点を照らす「街の灯」ともなっている。

密集住宅地の中の複雑な敷地形状において,既存施設を残置させつつ,様々な複雑な機能を周辺から突出しないボリュームでうまくまとめ,さらには,この地域の未来を展望するような,新しい都市景観を創出している。地域に開いた寺院という,古くも新しい課題を真摯かつ大胆に解決した建築であり,それを実現した施主や設計者の努力が高く評価された。

2.屋外広告部門

苔とも 苔だまディスプレイ

  • 所在地:上之園町22番7号
  • 広告主:株式会社パルコーポレーション
  • 制作者:トラス・アーキテクト株式会社
  • 種別:壁面広告物

苔とも苔だまディスプレイ

草木の根を土で包み,土のまわりを苔でおおった小さな自然,苔だま。このディスプレイは,苔だまのオンラインショップの広告看板である。往時の都市景観を彷彿とさせる銅板葺きの三角屋根が3つ並ぶ小さな建築群に,苔だまの実物を展示するアイデアがユニークである。看板とは,街の中に建つものである。苔だまが小さなものに自然を凝縮したものだとすれば,この看板は,それが建つ街の風景を凝縮したものと言えるかもしれない。加えて,耐久性の高い材料を使用することによって,街路の安全性を確保し,苔だまを照らす間接照明が,夜には街路をやさしく照らす灯りになるなど,一つの広告を通して街路景観全体を改善しようとする意思も素晴らしい。このような都市景観的配慮は,広告物そのものだけではなく,その背景となるビル壁面を黒く塗装し直していることにもあらわれている。

商品の魅力をよりよく伝えることが広告の目的だとすれば,派手な形や色で目立たせることが最適解だとは限らず,むしろ失敗している例の方が多いのではないだろうか。広告の立つ周辺景観に対する配慮や,ユニークなアイデアによって,商品だけではなくその背景となる思想までも表現したという点で,優れた広告作品である。

そらまめキッズ東谷山店

  • 所在地:東谷山三丁目25番13号
  • 広告主:株式会社スカイメディケアラボ
  • 制作者:株式会社インタック
  • 種別:壁面、野立広告物

そらまめキッズ東谷山店

発展しつつある住宅街に建つ,子供たちのことばや発達をトータルでサポートする療育施設の広告である。倉庫をリノベーションした建物を覆う木製のファサードとサイン,路端に立つ野立看板によって構成されている。

多くの子供を受け入れる施設の広告であるため,優しさが求められたのであろう。無垢の木材を大きく使用していることや,そらまめの黄緑色をアクセント色として用いたことなどに,その点がよくあらわれている。しかし,この作品の秀逸さは,そのような明快な選択を支え,上質な空間に仕上げるデザイナーのセンスである。例えば,庇の垂木の折れに合わせた木の形状や細い木材の集合で構成される木質のファサードを壊さないように位置やサイズ,色彩をコントロールした垂れ看板や,野立看板においては,壁柱から適度にはみ出してアクセントになりつつ,周辺から浮きすぎない絶妙な彩度を持つそらまめのロゴマークなどである。

周辺景観に配慮することを当然とする良識と,デザインを高質に仕上げる職人的な技術によって支えられ実現した,優れた広告作品であり,これからの広告のスタンダードになっていくべきものである。

センテラス天文館

  • 所在地:千日町1番1号
  • 広告主:株式会社千日1・4開発
  • 制作者:株式会社ブンカ巧芸社
  • 種別:壁面広告物

センテラス天文館

センテラス天文館は,戦後の天文館の復興の象徴ともいえる高島屋の跡地に建つ再開発ビルである。「セン」には千日町の千や中心地(センター)という意味が,「テラス」にはテラスや照らすという意味が込められており,商業施設としてだけではなく,快適な図書館や桜島を望める展望エリアなどを含めて,天文館の新しい中心となっている。

この広告を一言であらわすとすれば,上品という言葉が最適だろうか。まず,ロゴのデザインそのものが洒落ている。そのロゴを,余計な枠などをつくらずに設置しているのもシンプルである。加えて,ロゴの下部に設置されているテナントの看板も5つに限定され,サイズもコントロールされている。白く爽やかな壁面,シンプルなロゴ,抑制されたテナント看板,それら全てが一つの調和をつくっていることが素晴らしい。

街中の主役は人である。歩いている人,信号待ちをしている人,街角で会話をしている人。彼ら,彼女らにとって,派手な色,大きな形,騒々しい音を持つ広告は必要ないのではないだろうか。適切な場所に適切な色や形で,さりげなく提示するだけで,十分に広告の効果は発揮されるし,むしろ好感さえ抱かれることをこの広告は教えてくれる。

3.景観部門

関吉のアジサイロード・桜並木を主とした自然の景観で彩る下田町

  • 所在地:関吉の疎水溝周辺
  • 氏名:米元 勝男
  • 活動内容:関吉の疎水溝周辺の清掃・植栽活動

関吉のアジサイロード桜並木を主とした自然の景観で彩る下田町

関吉の疎水溝は2015年に世界文化遺産に登録された「明治日本の産業革命遺産」の8県11市にまたがる23の構成資産のうちの一つであり、鹿児島市磯地区で営まれた集成館事業の動力源として水を供給した取水口である。自然の地形を利用して取水口を設置し、流速を一定に保つためにほぼ水平に掘られた疎水溝は7キロに及び、工業用水としてだけでなく、路線途中にある田んぼの用水路としても利用され、地域の人々から「殿様の水」として大切にされてきた。

世界遺産登録前年度、鹿児島市では構成資産の立地地域町内会に対して活動協力を依頼し、関吉の疎水溝のある下田町町内会では登録年より「地域魅力アッププロジェクト」として周辺の清掃活動、水路沿いや道路脇への季節の草木の植栽と管理を開始した。その活動は,個人の活動として現在でも継続されている。具体的には,水路沿いに200株のアジサイとともにカンナやヒガンバナ等を,道路脇には20本以上のモミジを植栽し管理している。また,100本以上の桜並木の土手は,町内会と連携して藪払いや野焼きを行っている。これらの活動によって,いつ訪れても,季節感豊かな景観が維持されている。

世界遺産を一度見て終りではなく、世界遺産がある下田という地域が多くの人々に見られることを認識し、どの時期にきても何度きてもよいところだといってもらえるようにということで、疎水溝にそっての植栽活動・保全に心を砕かれている。時として、行政に管理を任せきりになってしまいがちな条件下において、住民自らが世界遺産登録後の来訪者を意識した植栽活動を発案、継続し、登録10周年を来年度に控えて,活動がさらに充実しているのは,鹿児島のみならず,全国の模範となるだろう。また元々の用水路としての疎水溝への理解と愛着を基盤としたこの活動が、宅地化が進む周辺地域に比べて,原風景とも言える良好な田園風景を伝えてくれていることにも,大いに感謝したい。

景観事業「松林保安林内の草刈り」

  • 所在地:喜入生見町
  • 活動団体:生見まちづくり協議会
  • 活動内容:松林保安林内の草刈り

景観事業松林保安林内の草刈り

島国である日本の海岸線は長く,総延長は35,000kmにおよびそのおよそ1割が砂浜といわれる。このような環境に長く暮らしてきた私たちにとって,砂浜と松林が続く白砂青松という言葉は,決して観光地のみを指すのではなく,もっと身近で日常的な景観をあらわしていたのだろう。しかし,松林によって砂の飛散を防ぐ必要がある遠浅の海は,その多くを埋め立てられ,道路や工業用地となり,白砂青松の景観は今や貴重なものとなってしまった。そんな景観が生見海岸にはある。地域の方々に大切に守られながら。

鹿児島県内の観光地・指宿に向かう国道226号を走っていくと,鹿児島市の南端あたり,桜島を除く市内2か所の海水浴場のうちの一つである生見海水浴場に接して,この保安林はある。実は,鹿児島市唯一の松林保安林である。地域の方々が平成27年に生見まちづくり協議会を設立し,草刈りを始めるまでは,保安林内には雑木雑草が生い茂り,薄暗く,海を見通すこともできなかったということだった。それが今や,松林はすっきりとした景観となって,海が見通せるようになっただけではなく,初冬には地域の方々が植えたツワブキ(旧喜入町の花でもある)の黄色い花が咲き乱れる美しい景観を呈するようになったのである。

その延長は500mにもなろうか。短くない距離だが,この活動も10年を迎えようとしている。まず,その継続性に敬意を表したい。さらに素晴らしいのは,このような整備は観光や賑わいを目指す方向に向かいがちであるが,この活動はそうではなく,試行錯誤しながら,生見海岸のあるべき姿を見据え,景観だけではなく林内の環境の再生を目指していることである。そもそも日本の自然は,里山に見られるように,人の手が適切に加えられながら維持されてきた。この生見海岸の景観と,それを支える地域の方々の活動には,その原型を見る思いである。活動の継続には,多くの困難が伴うだろうが,これからもぜひ続けていってほしい。

耕作放棄地を遊べる農園へ~KADAN農園プロジェクト

  • 所在地:喜入町
  • 活動団体:喜入子育てコミュニティKADAN
  • 活動内容:遊べる農園作り、草刈りツーリズム

耕作放棄地を遊べる農園へかだん農園プロジェクト

全国で次々と生まれる耕作放棄地。多くの地域では,雑草が伸び放題,寂しい荒れた景観を代表するものとなっているだろう。しかしここでは,コミュニティの拠点として,生き生きとして豊かな景観を生み出している。

子育て支援を軸とした活動団体「喜入子育てコミュニティKADAN」が,こども食堂などを展開していた拠点である善行寺の目の前の耕作放棄地の持ち主から,「ゴミの投棄があったり、見通しが悪いと近隣の住民から苦情があるが自分ではどうしようもできない。何かに活用できないか」と相談を受けたことからプロジェクトは始まった。地域住民とのワークショップや観光農園の視察などを通して構想を深め,また,地域住民の協働のもと,草刈りや土おこし,苗植えを行い,少しずつ「遊べる農園」を形づくっていった。このような丁寧なプロセスが,地域の人々の愛着を育み,持続的に維持される土壌をつくっていたのだろう。

また,行政が整備した公園ではなく,協働でつくられ維持されている公園だからこそ生まれる自由さも,公園本来のあるべき姿を示唆する点で意義深い。加えて,様々な寄付によって植えられた木々や丁寧に維持された緑は,背景となる森の緑とともに,地域の景観をより豊かなものにしているし,雨が降れば水が溜まるという現象も,この土地が田圃だったことを想起させ,これもまた,この土地らしい景観だろう。

さらに素晴らしいのは,課題となる草刈りを,情報技術をうまく活用することによって,新たな担い手の可能性を喚起し、地域外の人々がつながる交流の場として,「草刈りツーリズム」という,ネットワークを広げる活動と連携させて解決していることである。ここ「KADAN農園」は初心者が草刈りの知識や技術の習得ができる「草刈り道場」としての役割を担っており、まさに,発想の転換である。ぜひ,これからも活動を継続させ,この地域らしい生き生きとした景観を生み出し続けていただけたらと切に願う。

4.特別賞

JR鹿児島中央ビル(AMU WE)

  • 所在地:武一丁目2番10号
  • 建築主:九州旅客鉄道株式会社
  • 設計者:清水建設株式会社一級建築士事務所
  • 施工者:清水建設株式会社九州支店
  • 用途:駅舎(店舗付き事務所)
  • 構造等:鉄骨造
  • 延面積:132,744.61平方メートル

鹿児島中央ビル

鹿児島中央駅の西口が,駅利用者や周辺に暮らす人々が快適に行き交うことのできる空間へ劇的に生まれ変わった。その実現のためには,建築単体のデザインのみならず,それ以前の都市計画的な工夫も重要であった。

この建築は,既存駅舎に対する増築建物として計画されたが,建築基準法や消防法を適切に解釈することによって,渡り廊下で既存駅舎と接続した別棟建物としている。また,それらの間にあった市道を利用していた既存駐車場への車の往来は,既存駐車場出口を2階に変更し,ブリッジで増築立体駐車場と接続・経由させ,道路幅員が拡張された市道32号線に出庫する動線としている。以上の工夫によって,車と歩行者動線を分離することが可能となり,単なる通路であった市道は,人々がゆっくりと歩き,過ごすことのできる都市計画通路・歩行者空間として生まれ変わることができた。この空間には,県在来樹が豊かに植樹され,柔らかな曲線のベンチが設えられている。また,建物低層階のバルコニーにも植栽帯が設けられていたり,2階レベルの床面のデザインも都市計画通路と同様の曲線のデザインが展開されていたり,室内と外部空間を立体的な一体空間とする工夫も随所に見られる。また,建物のメインエントランスとなるピロティと既存駅舎を直結する渡り廊下の天井には,鹿児島の伝統工芸品である薩摩切子をモチーフとした天井ライン照明を設けたり,オフィス専用エントランスに桜島と錦江湾を手漉き和紙で表現した光壁を設けるなど,鹿児島らしさの演出にも余念がない。加えて,建物外観の色彩も黒系からチャコール,白系へと段階的に変わっていき,周辺の街並みとの調和も実現している。

これからの都市開発のお手本ともなるべき建築であるが,願わくは,快適な都市計画通路が,隣接する店舗との連携や動かせる椅子などによる居場所づくりが進み,より生き生きとした場所へと育っていくことを期待したい。

第7回鹿児島市景観まちづくり賞概要

1.目的

景観まちづくり賞は、良好な景観形成に寄与している優れた建築物や屋外広告物、並びに市民等の活動により保全されている景観の良好な街並み、田園、海岸、緑地、及び景観形成に貢献している市民等の活動を表彰し、これらを広く紹介することにより、景観に対する市民や事業者の関心を高め、魅力的な景観のあるまちづくりを進めることを目的として実施するものです。

2.募集期間

令和6年6月24日(月曜日)~8月30日(金曜日)

3.募集対象

(1)建築部門

市内にあり、建築物として優れ、美しい街並みと豊かな都市環境に寄与し、街に潤いと魅力を与えており、平成26年4月1日から令和6年8月30日までに建築基準法による検査済証の交付を受けた民間建築物

(2)屋外広告部門

市内にあり、広告物として優れ、美しい街並みと豊かな都市環境に寄与し、街に潤いと魅力を与えている民間の屋外広告物

(3)景観部門

  • 市民・事業者によってつくられ保全されている街並み、田園、海岸、緑地などの市内の良好な景観
  • 市内で継続的に取り組まれている景観まちづくり活動

4.応募件数

建築部門:19件

屋外広告部門:6件

景観部門:5件

5.景観まちづくり賞審査会

(1)期間

令和6年10月9日(水曜日)、19日(土曜日)、20日(日曜日)

(2)審査会委員

委員長:星野 裕司氏(熊本大学 くまもと水循環・減災研究教育センター教授)

副委員長:川島 茂氏(鹿児島県立短期大学教授)

委員:木方 十根氏(鹿児島大学大学院理工学研究科教授)

委員:小山 雄資氏(鹿児島大学大学院理工学研究科准教授)

委員:古川 惠子氏(鹿児島女子短期大学名誉教授)

委員:江良 きよ子氏(era色彩計画代表)

委員:東川 美和氏(NPO法人まちづくり地域フォーラム・かごしま探検の会事務局長)

現地審査景観最終審査

6.表彰

令和6年12月19日(木曜日)に鹿児島市役所において表彰式を行いました。

表彰式

(1)建築部門

ア.建築主・・・賞状及び銘板

イ.設計者及び施工者・・・賞状

(2)屋外広告部門

ア.広告主・・・賞状及び銘板

イ.制作者・・・賞状

(3)景観部門

活動団体等・・・賞状及び賞金10万円

(4)特別賞

建築主、設計者、施工者・・・賞状

 

よくある質問

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お問い合わせ

建設局都市計画部都市景観課

〒892-8677 鹿児島市山下町11-1

電話番号:099-216-1425

ファクス:099-216-1398

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