初夏の所蔵品展 ミニ特集:令和6年度新収蔵品Ⅰ 山下兼秀、寺尾作次郎を中心に
展覧会概要
鹿児島ゆかりの作品や印象派以降の西洋美術に加え、今年度の所蔵品展では令和6年度に寄贈を受けて収蔵した新たな作品を、初夏と秋の2回に分けてミニ特集で紹介します。Ⅰ期は洋画の山下兼秀と染織・工芸の寺尾作次郎を中心に、山下巌、福田美蘭の作品を関連する参考作品も交えて展示します。様々なご縁で当館に集まることとなった新収蔵品を、この機会にどうぞお楽しみください。
会期:令和7年5月20日(火曜日)~令和7年7月6日(日曜日)
- 会場:2階(常設展示室)
- 観覧料:一般300円、高大生200円、小中生150円
- 年間パスポート:一般600円、高大生400円、小中生300円 ※購入日から1年間、所蔵品展・小企画展を何度でもご覧いただけます。
主な展示作品

山下兼秀《空》

山下兼秀《窓の少女》

福田美蘭《「南日本新聞」2024年1月1日》

寺尾作次郎《鶏と鶏頭花屏風》

ピエール=オーギュスト・ルノワール《コロナ・ロマノの肖像》

藤島武二《鳥羽の日の出》
- 展示作品リスト(PDF:524KB)
- 学芸員のイチオシ作品 マックス・エルンスト《石化せる森》(副館長・谷口雄三) 高校生のころ通学路の途中に、新装開館して間もない市立美術館がありました。ときどきライブラリーに立ち寄って、偏愛するエルンストの画集をめくっては、代表作《雨後のヨーロッパ》を飽かず眺めて
いたものでした。月日が経ち、夢叶って当館の学芸員となれたその年に購入されたのが、エルンストのこの作品でした。われながら今でもまさにシュールな出来事です。
その技法から見れば、グラッタージュによる表面の擦り出しによって深層が暴かれようとしています。モチーフから考えれば、白い天体の輝きで闇の内部がまざまざと照らし出され、同時にその天体は鳥の目と化して暗い森に分け入り、樹々の葉むらや豊かな土壌までのぞき込もうとしているかのようです。本作は、不可視のものをあからさまにしようと試みるシュルレアリスムそのもののような絵画です。
ダダの時代を経て、その誕生からシュルレアリスムに関わり、コラージュ、フロッタージュ、デカルコマニーなどさまざまな技を繰り出し、またフィニ、キャリントン、タニングなど彼の愛した女性たちがそれぞれ個性的なシュルレアリストとなったエルンスト。彼こそシュルレアリスムの帝王だと思います。
他館の学芸員の方に「鹿児島市美で一番いい作品はエルンストよね」と言われる度に、思わず「お目が高い!」と叫んでしまいそうになります。

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最終更新日:2025年8月26日