東京富士美術館のコレクションは、日本・東洋・西洋の各国、各時代の絵画・版画・写真・彫刻・陶磁・漆工・武具・刀剣・メダルなど様々なジャンルの作品約3万点から成り、とりわけルネサンス時代からバロック・ロココ・新古典主義・ロマン主義を経て、印象派・現代に至る西洋絵画の油彩画コレクションは最大の特徴となっています。「珠玉の東京富士美術館コレクション」をテーマに開催される今回の展覧会は、その油彩画コレクションから厳選された作品によって西洋絵画 400年の歴史をご紹介していくものです。
本展覧会では、従来の美術史に沿ったアプローチとは異なり、絵画の「ジャンル」に着目し、その序列や特徴を解説します。第Ⅰ部では伝統的なジャンルの序列に基づく作品を展示し、各ジャンルの成り立ちや文化的背景を探ります。第Ⅱ部では、19世紀以降に既存の価値観が揺らぐ中で、新たな表現が登場した近代の絵画を取り上げ、テーマと表現方法の両面から考察します。第Ⅰ部ではティントレットやヴァン・ダイクらの古典作品、第Ⅱ部ではゴッホやモネ、セザンヌなど印象派以降の名品が、あわせて83点展示されます。西洋絵画400年の歴史と美を感じることができる、まさに「珠玉」と呼べるコレクションをお楽しみいただけたら幸いです。
西洋絵画では、ルネサンスから19世紀前半まで、絵画の価値は「ジャンル」によって格付けされていました。最も格が高いのは「歴史画」で、神話や聖書の物語を描いたものを指します。次に肖像画、風俗画、風景画、静物画の順で格付けされ、この序列の背景には、キリスト教的価値観やルネサンスの人間中心主義があります。やや特殊なのは17世紀のオランダで、共和制かつ偶像崇拝を禁止するプロテスタントを国教としていたため、美術作品の需要は裕福な市民階級の中に高まり、特に風俗画や静物画が絶大な人気を博しました。
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第Ⅱ部では、産業革命と市民革命によって誕生した近代社会における絵画を扱います。18~19世紀のフランス美術界では、古典主義を重んじるアカデミズムが支配的であり、サロンへの入選が画家の成功に不可欠でした。しかし、革命や産業化を経て既存の価値観が揺らぎ、感情や個性を重視する新たな美の価値観が生まれ、美術は伝統よりも独創性を求めるものへと変化しました。印象派など独自の展覧会を開く動きが広がり、さらに、中産階級の台頭により風俗画や風景画の需要が増え、歴史画の優位性も失われ、ジャンルの序列が解消されていきました。
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1.ニコラ・コワペル《ヴィーナスの誕生》1732年 2.ジャック=ルイ・ダヴィッドの工房《サン=ベルナール峠を越えるボナパルト》1805年
3.ジョシュア・レノルズ《少女と犬》1780年頃 4.ウィリアム・アドルフ・ブーグロー《漁師の娘》1872年 5.ユベール・ロベール《スフィンクス橋の眺め》1767年
6.カナレット《ヴェネツィア、サンマルコ広場》1732~33年 7.ジャン=バティスト・モノワイエ《花》17世紀
8.クロード・モネ《睡蓮》1908年 9.ピエール=オーギュスト・ルノワール《赤い服の女》1892年 10.ポール・セザンヌ《オーヴェールの曲がり道》1873年
11.フィンセント・ファン・ゴッホ《鋤仕事をする農婦のいる家》1885年
すべて東京富士美術館蔵、©東京富士美術館イメージアーカイブ/DNPartcom
会期
令和7年7月25日(金曜日)~9月7日(日曜日)
休館日:7月28日(月曜日)、8月4日(月曜日)、8月12日(火曜日)、8月18日(月曜日)、8月25日(月曜日)
会場
鹿児島市立美術館 一般展示室(1・2)、企画展示室
観覧料
( )内は前売料金及び20人以上の団体料金、年間パスポートまたは障害者手帳提示者は同料金で観覧できます。
会期中は、本展チケットで所蔵品展も観覧できます。
前売り券取扱所
ファミリーマート(e+〈イープラス〉http://eplus.jp(外部サイトへのリンク))
ローソン(ローソンチケット:Lコード81353)
セブン・イレブン(チケットぴあ:Pコード687-276)
南日本新聞販売所、鹿児島市内プレイガイド(山形屋・生協コープかごしま各店舗・川商ホール〈鹿児島市民文化ホール〉・各画材店)
主催
鹿児島市立美術館、南日本新聞社、KYT鹿児島読売テレビ
問合せ
鹿児島市立美術館
電話:099-224-3400
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