更新日:2020年12月16日
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農業相続人(農業後継者)が、農業を営んでいた被相続人または特定貸付け(注1)を行っていた被相続人から農地等(注2)を相続し、農業を継続する場合、または相続した農地等で特定貸付けを行う場合には、農地等の価格のうち「農業投資価格(注3)」を超える部分に対応する相続税については、一定の要件のもとに納税猶予期限までその納税を猶予され、原則として一定の要件に達したときに免除されるという制度です。
(注1)「特定貸付け」とは、市街化区域外の農地において、農地中間管理事業の推進に関する法律および農業経営基盤強化促進法により貸し付けた場合に、納税猶予制度の対象となるその貸付けをいいます。
(注2)「農地等」とは、農地または採草放牧地およびこれらとともに取得した準農地をいいます。「準農地」とは、農用地区域内にある土地で、農業振興地域整備計画において用途区分が農地や採草放牧地とされているもののうち、10年以内に農地や採草放牧地に開発して、農業の用に供するものをいいます。
(注3)「農業投資価格」とは、農地等が恒久的に農業の用に供される土地として自由な取引がされるとした場合に通常成立すると認められる価格として国税局長が決定した価格をいいます。
<被相続人の要件>
次の1から4のいずれかに該当することについて、農業委員会が証明した個人が対象となります。
(注4)「営農困難時貸付け」とは、納税猶予制度の適用を受けている人が一定の障害等を事由として、特例の適用を受けている農地等での営農が困難な状態になったために、その農地等について貸借権等の設定による貸付けを行った場合のその貸付けをいいます
<農業相続人の要件>
次の1~4のいずれかに該当することについて、農業委員会が証明した個人が対象となります。
<納税猶予の対象農地等(特例農地等)の要件>
次の1~5のいずれかに該当し、かつ、相続税の期限内申告書に納税猶予の特例を受けようとする旨の記載があるものに限ります。
<納税猶予額の免除の要件>
次の1~3のいずれかに該当することとなった場合に免除されます。
農業を経営する人が、その所有する農地の全部ならびに採草放牧地および準農地の一定割合(3分の2以上)を、その農業を引き継ぐ推定相続人の1人に一括して贈与した場合には、その推定相続人について課税される贈与税は、贈与者または受贈者のいずれかが死亡する日まで、その納税が猶予され、かつ、一定の要件のもと免除されるという制度です。ただし、贈与者の死亡により猶予されていた贈与税が免除された場合には、その農地等は贈与者から相続したものとみなして相続税の課税対象となります。この場合の相続税にあっては、相続税納税猶予制度の適用を受けることができます。
(備考)相続時精算課税に係る贈与によって取得した農地等については、この特例の適用を受けることはできません。
贈与者の要件
農地等を贈与した日まで引き続き3年以上農業を営んでいた個人であること
受贈者の要件
(1)農地等を取得した日の年齢が18歳以上であること
(2)農地等を取得した日まで引き続き3年以上農業に従事していたこと
(3)農地等を取得した日以降、速やかに農業経営を行うこと
(4)農業委員会の証明時に担い手(注5)になっていること
(注5)「担い手」とは、認定農業者、認定新規就農者、基本構想水準到達者(効率的かつ安定的な農業経営になっている者)のいずれかの者のこと
以下の場合には、納税猶予額の全部または一部に、利子税を加算して納税
【例外】次の場合は、納税猶予は打ち切られない
納税猶予制度の適用を受けようとする人は、相続税の申告期限(相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内)までに、被相続人の住所地の税務署に申告することになっています。
申告にあたっては、農業委員会の発行する相続税の納税猶予に関する適格者証明書、説明・記載要領および農業経営を開始したと認められる旨の証明書、農業経営を開始したと認められる旨の証明書を添付しなければなりませんので、早めに農業委員会に申請してください。
農業経営を開始したと認められる旨の証明書(ワード:33KB)
農業経営を開始したと認められる旨の証明書(PDF:89KB)
納税猶予制度の適用を受けようとする人は、贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日までに、所轄の税務署に申告することになっています。
申告にあたっては、農業委員会の発行する贈与税の納税猶予に関する適格者証明書、説明・記載要領および農業経営を開始したと認められる旨の証明書を添付しなければなりませんので、早めに農業委員会に申請してください。
贈与税の納税猶予に関する適格者証明書(ワード:104KB),
農業経営を開始したと認められる旨の証明書(ワード:16KB),
農業経営を開始したと認められる旨の証明書(PDF:190KB)
その他必要な書類の添付とともに、担保を提供する必要があるほか、納税猶予が継続している間、継続に関する手続き引き続き農業経営を行っている旨の証明書などがありますので、農業委員会や税務署にご確認ください。
贈与税の課税制度には、「暦年課税(注6)」と「相続時精算課税(注7)」の2つがあり、一定の要件に該当する場合には、「相続時精算課税」を選択することができます。
この制度は、贈与時に贈与財産に対する贈与税を納め、その贈与者が亡くなった時にその贈与財産の贈与時の価格と相続により取得した財産の価格とを合計した金額を基に相続税として、精算・課税します。また、既に納めた贈与税がある場合は、その額を控除することにより贈与税・相続税を通じた納税を行うものです。
(注6)「暦年課税」とは、1年間(1月1日~12月31日)に贈与を受けた財産の価額の合計(課税価格)から基礎控除額110万円を差し引いた残額(基礎控除後の課税価格)について贈与税額を計算します。(基礎控除後の課税価格によって、税率や控除額が違いますので、詳しくは農業委員会または所轄の税務署にお尋ねください。)
(注7)「相続時精算課税」とは、贈与者が亡くなった時の相続税の計算上、相続財産の価額に相続時精算課税制度を適用した贈与財産の価格(贈与時の価格)を加算して相続税額を計算します。その際、この制度によって既に支払った贈与税がある場合は相続税額から控除します。なお、控除しきれない金額は還付を受けることができます。
相続時精算課税制度を選択できる場合(年齢は贈与の年の1月1日現在のもの)
贈与財産の種類、金額、贈与回数に制限はありませんが、一度この制度を選択すると、その後は同じ関係(例:父親から長男のような同一の関係)の贈与は、この制度によることになり暦年課税の対象となりません。また、贈与税の納税猶予制度との併用はできません。
この制度で農地を贈与した後に相続が発生した場合、贈与した農地については相続税納税猶予制度が適用されません。
詳しくは、農業委員会または所轄の税務署にご相談ください。
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