社会福祉施設や保育園等でのノロウイルス対策
目次
- ノロウイルス
- ウイルスの特徴
- 感染経路
- 症状
- 平常時の対応
- 初動時の対応は適確に!
- 手洗いの徹底を!
- 汚物の処理
- 消毒薬の作り方
- 施設等の清掃・消毒(リネン類・おもちゃ等・施設)
- 調理従事者の注意事項(ノロウイルス以外も含む)
- 入浴の際の感染防止
- 利用者・家族の不安解消とマニュアルの見直し等
1.ノロウイルス
ノロウイルスは、年間を通して発生しておりますが、特に秋から春にかけて多発する感染性胃腸炎の主な原因物質として知られています。ノロウイルスは、カキなどの二枚貝に起因する食中毒や人から人への感染で拡大します。
ノロウイルスによる症状は、比較的軽く、通常は2~3日で回復しますが、感染力が非常に強いため、少量のウイルスを経口的に摂取することで発病する特徴があります。
特に、乳幼児施設、高齢者施設及び学校など集団生活を行う施設では、施設の利用者間だけでなく職員にも感染し、拡大すると、これを一掃するには、かなりの労力を伴うため、発生当初、患者数の少ない段階での確実な対応が重要です。
また、介護職員等の夜間勤務体制の強化による拡大防止や、調理施設内へおう吐物の付着した食器等を持ち込むことによって発生する食中毒を防止することも重要です。
2.ウイルスの特徴
- (1)感染力が強く、年齢を問わず、少量で人に感染します。
- (2)人だけに感染し、人の腸管内で増えます。
- (3)食品で増殖するわけではないので、食品の鮮度に関係なく感染します。
- (4)有効な消毒方法は、85~90℃で90秒間以上の加熱、又は、次亜塩素酸ナトリウムです。(アルコールや逆性石けんによる消毒効果はほとんどなく、従来の衛生対策が通用しません。)
- (5)このウイルスに効果のある治療薬はありません。
- (6)何回でも感染します。
3.感染経路
感染者から排泄されたノロウイルスは、下水から河川、海に流入し、その水域で養殖、又は棲息するカキやシジミなどの二枚貝に蓄積されます。(貝の中で増殖するわけではありません。)
この二枚貝の生食、あるいは手指等を介してウイルスに汚染された食品を食べることにより食中毒が発生します。
また、感染者のふん便やおう吐物に直接又は間接的に触れたり、おう吐物の飛沫を吸い込むなどして、最終的に口に入ることで感染します。ふん便等で汚染された井戸水による感染報告もあります。
(1)食中毒の場合(食材⇒ヒト、ヒト⇒食品の汚染⇒ヒト)
- (a)ノロウイルスを蓄積するカキ等の二枚貝を生又は加熱不十分で食べた場合
- (b)二枚貝などの下処理の際、他の食品を二次汚染した場合
- (c)ノロウイルスに感染した調理従事者が、直接、手指を介して食品を汚染した場合
- (d)ノロウイルスに汚染された水を飲用した場合
(2)感染症の場合(ヒト⇒ヒト)
- (a)汚物処理後の手洗が不十分な場合(特に口腔ケア等の際に注意)
- (b)感染者のおう吐物やふん便の処理時に飛沫が口に入った場合
- (c)ウイルスで汚染された箇所(おもちゃを含む)を、触ることにより間接的に手指が汚染された場合
- (d)汚物が乾燥して塵となり、空気中に漂ったウイルスが口に入った場合
4.症状
(1)症状
ウイルスが、体内に取り込まれてから発症するまでの潜伏期間は、1~2日です。
主な症状は、下痢、吐き気、おう吐、腹痛、発熱などで、通常3日程度で回復しますが、症状が治っても、1週間程度(長い場合は、1ケ月程度)、ふん便中にウイルスが排泄され続けると言われています。
(2)発生時期
一年を通じて発生しますが、例年11月頃から発生件数は増加しはじめ、1月から2月が発生のピークとなります。
5.平常時の対応
施設を利用する子どもや高齢者などは、抵抗力が弱く、発病すると重篤な状態に至る場合があります。日頃から、利用者の健康状態を観察し、ノロウイルスを含む感染症が疑われる人を早めに把握することが重要です。
また、職員が家庭などの施設外で感染し、施設内へウイルスを持ち込む場合もありますので、職員の健康状態も把握しておきましょう。
ポイント
- 施設の対応マニュアルを整備しましょう。
- 担当者は毎日、症状の有無、排泄の状況、食事の摂取状況等について観察を行い、医療機関を受診した場合は、診断結果や治療内容も確認しておきましょう。
- 通所施設においては、利用者の健康状態を把握するとともに、欠席した場合は、念のため、その理由も確認しましょう。
- 面会者におう吐、下痢の症状がある場合は、しばらくの間(1週間程度)、面会を遠慮してもらうことも有効です。
- 看護職や医務担当者等に情報を集約し、また、状況を記録し、全体の状態を把握できるようにしましょう。
6.初動時の対応は適確に!
施設において、感染症が疑われる事例が発生した場合には、感染の拡大防止をするために、初動時の対応が重要です。患者数が少ないうちに早めに対応しましょう。
(1)発生状況の把握
(1)症状の確認
下痢、おう吐、発熱、その他の症状について確認してください。
(2)施設全体の状況の把握
- 発症時刻、棟、フロア、部屋別の発生人数(担当職員を含む)を把握し、記録してください。
- 受診状況、診断名、検査結果及び治療内容の確認をしてください。
- 普段の状況に比べ、異常でないか比較してください。
(2)感染の拡大防止
(1)職員への周知
施設管理者は、感染症等の発生状況を関係職員に周知し、清掃等を行う外部の業者も含め、対応の徹底を図ってください。
また、日頃から連絡方法を整備してください。
(2)勤務体制の見直し
最初の患者が発生してから30~36時間後に同室や隣室、あるいは当該患者を介護した職員に、多発する傾向が見られ、この時期の対応は特に重要です。
夜間には、介護職員の人数が減少し、汚染が拡大する可能性がありますので、夜間時の勤務体制を強化してください。
(3)消毒等の徹底
- 通常時より消毒の頻度を増やすなど、施設等の消毒を徹底して実行してください。
- 手洗い、排泄物、おう吐物の確実な処理を徹底して実行してください。
- 口腔ケア(義歯の手入れを含む)には、特に注意してください。
- 食事前のテーブルの消毒や履物の消毒にも留意しましょう。
(4)感染経路の遮断
- 入所施設において、おう吐物が飛散して、部屋が汚染されることにより、同室者が感染する危険性があります。可能であれば廊下等の遮断や患者の部屋は別にしましょう。
- 通所者に、おう吐、下痢等の症状がある場合は、他の利用者へ感染させる危険性もあります。可能であれば、症状が良くなるまで自宅療養をしてもらいましょう。
- 施設が、複数の階にまたがる場合は、各階ごとに次亜塩素酸ナトリウムを浸したマットを設置するなど、履物からの汚染拡大を防止しましょう。
各階ごとにエプロンや外衣を替えるなど感染の防止に努めましょう。
(5)調理室内への汚染源の持込防止
- おう吐物で汚染された食器や布巾などは、別に回収し、調理施設外で洗浄・消毒後、調理場内に持ち込むようにしてください。
- 配膳車や下膳車、お盆も0.02%~0.1%の次亜塩素酸ナトリウムで消毒してください。
- 食器回収の際は、手袋等を使用して、食べ残しなどに直接触れないように注意するとともに作業終了後は、シンクや作業台などの洗浄消毒及び従事者の手洗いを徹底し、調理施設内を汚染しないよう十分注意してください。
- 多数の調理従事者が発症したり、下膳室がないなど、被害が拡大する可能性がある場合は、調理の自粛、訪問給食又は供給を停止し、代替措置を検討してください。
(3)関係機関等への連絡
(1)施設管理医への連絡
重篤化を防ぐため、適切な医療及び指示を受けてください。
(2)利用者家族への連絡
発生状況を説明し、健康調査や二次感染予防について協力を依頼してください。
(3)所管課や保健所等への連絡
(4)患者(発症者)への対応
高齢者や子どもが発症すると脱水症状になりやすく、また高齢者等では、おう吐物による誤嚥性肺炎や窒息の危険性があります。早急な医療機関への受診が必要です。
7.手洗いの徹底を!
手洗いは、二次感染予防の基本です。
患者のおう吐物や便には、たくさんのノロウイルスが含まれています。目に見えないノロウイルスは、直接・間接的に手指などに付いて、二次感染の原因となります。
手洗いに際しては、ノロウイルスに対する有効な消毒液はありませんが、石けんを使用することで手の脂肪の汚れを落とし、ノロウイルスを手指から、剥がれやすくする効果があります。
手に付いた魚の臭いは、簡単に取れないものです。手に付いたノロウイルスは、臭いもなく、目にも見えないので、魚の臭いを取るのと同じように、石けんを使ってよく洗いましょう。
また、下痢の時は、トイレットペーパーをいつもより厚くして使用し、手を汚さないようにするとともに、洗面所等で石鹸を使って、普段よりも丁寧に時間をかけて手を洗いましょう。
なお、調理場でトイレの後の手洗いを行うと、食品への二次汚染の原因となりますので注意してください。
(1)施設利用者の手洗い
- (1)認知症や上肢の麻痺があるなど、自分で手洗いを行うことが困難な人に対し、おしぼりで手を拭く際は、汚染させないように気を付けましょう。
- (2)手洗いは、石けんを使い十分にこすり洗いをし、水で洗い流しましょう。
- (3)外出後、用便後、調理や食事の前には、手洗いを行いましょう。
(2)職員の手洗い
- (1)1ケア1手洗いが基本です。
- (2)食事の介助の前、排泄介助の後、必ず手洗いを行いましょう。
- (3)同じ者への介助を行う場合も、介助内容が異なる場合は、手洗いを行いましょう。
- (4)手袋をはずした後も、手洗いを行いましょう。
手洗いの方法
(1)手洗いの前の準備
- (1)爪は短く切っていますか?
- (2)腕時計や指輪をはずしていますか?
(2)汚れが残りやすいところ
(3)手洗い方法
- (1)手を水で濡らし、石けんをつけます。
(注)石けんには、ノロウイルスの感染力を失わせる効果はありませんが、手の脂肪等の汚れを落とすことにより、ノロウイルスを手指からはがれやすくする効果があります。
- (2)腕から指先まで、時間をかけて、ていねいに、こすり洗いします。特に、指の間・指先をよく洗います。
- (3)十分に水洗いし、石けんをよく洗い流します。
- (4)ペーパータオル又は清潔なタオルで、手を拭きます。
8.汚物の処理
施設において、利用者が下痢やおう吐をした場合は、ノロウイルスを疑って処理してください。
ふん便やおう吐物を適切に処理することは、自分自身への感染と、施設内への汚染拡大を防止するため重要です。
また、おう吐物を処理した後48時間は、自分が感染していないか注意してください。
(1)おむつの交換
- おむつ交換時には、マスクと使い捨て手袋、エプロン等を着用し、その都度ごとに手袋を交換しましょう。
- 交換したおむつや使用した手袋は、直接床等に置かず、必ず専用の袋へ入れて処分しましょう。
- 消毒薬や汚物入れは、利用者が手を触れない場所に保管しましょう。
(2)おう吐物処理セット
【処理セット】
- (1)ペーパータオルなど
- (2)使い捨てマスク
- (3)使い捨て手袋(無ければ、ビニール袋で代用)
- (4)使い捨てエプロン等
- (5)汚物入れ用ビニール袋
- (6)専用バケツ
- (7)塩素系漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム含有の消毒液)
- (8)薬用石けん
(3)おう吐物の処理方法
【処理方法】
- (1)汚染場所に関係者以外の人が近づかないようにします。
- (2)処理を始める前に、使い捨て手袋とマスク、エプロンなどを着用する。
- (3)おう吐物をペーパータオルなどで、外側から内側にむけて、静かにふき取る。
- (4)おう吐物とふき取りに使ったペーパータオルなどをビニール袋に入れ、0.1%次亜塩素酸ナトリウムを加えてから、袋の口をしばる。
- (5)おう吐物をふき取った場所を、0.1%次亜塩素酸ナトリウムに浸した別のペーパータオルなどでふく。
- (6)次亜塩素酸ナトリウムは腐食性があります。鉄などの金属は錆びることがありますので、ふき取り後、10分程度待って水で浸した別のペーパータオルでふき取る。
- (7)汚染物と消毒に使用したものの全てを別のビニール袋に入れ、袋の口をしばり廃棄する。
- (8)エプロンなどの衣類におう吐物が付着した場合は、0.1%次亜塩素酸ナトリウムに10分間浸すか、85℃で1分間以上になるように熱湯消毒を行い、他のものと分けて最後に洗濯する。
(次亜塩素酸ナトリウムにより、脱色される場合があり、また熱湯により、衣類が傷む場合があります。)
- (9)手は石けんを使用し、よく、もみ洗いする。
(注)処理中・処理後は、窓を開ける等、換気を十分にしましょう。
9.消毒薬の作り方
ノロウイルスに対して有効な消毒薬は、「次亜塩素酸ナトリウム」です。次亜塩素酸ナトリウムの濃度を調整して使用してください。
塩素系漂白剤として市販されている次亜塩素酸ナトリウムの濃度は、一般的に5%~6%です。(家庭用塩素系漂白剤ハイター、ブリーチなど)
不明の場合は、購入店で確認してください。
(1)嘔吐物・便で汚染された場所や衣類の消毒〔0.1%:市販品(5%)の50倍希釈5%×50分の1=0.1%(1000ppm)〕
嘔吐物・便で汚染された場所や衣類の消毒
原液濃度
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商品(原液)の量
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水の量
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出来上りの量
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5%
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10ml(ペットボトルのキャップ2杯)
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490ml
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500ml
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(2)通常時の調理器具・床・ドアノブなどの消毒〔0.02%:市販品(5%)の250倍希釈5%×250分の1=0.02%(200ppm)〕
(注)患者がいない場合
通常時の調理器具・床・ドアノブなどの消毒
原液濃度
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商品(原液)の量
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水の量
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出来上りの量
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5%
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2ml(ペットボトルのキャップ半杯)
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498ml
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500ml
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(注1)次亜塩素酸ナトリウムは、古くなったり、保存状態が悪ければ、塩素成分が消失することがありますので、商品の使用上の注意事項をお読みください。
(注2)消毒液を保管しなければならない場合は、消毒液の入った容器は、誤って飲むことがないように、消毒液であることをはっきりと明記して保管しましょう。
10.施設等の清掃・消毒
施設内のトイレ周辺、床、患者ベッド等は、ノロウイルスに汚染されている可能性があります。
定期的に消毒しましょう。
また、ノロウイルスは、大きさが30ナノメートルと言われています。おう吐物等の拭き取りと消毒が徹底されていない場合は、乾燥した後にウイルスが室内に拡散し、感染が拡大するおそれがあります。おう吐物等を適切に処理し、また、室内の適正な換気を行うことが大切です。
(注)(1ナノメートルは100万分の1ミリメートル)
(1)リネン類の消毒
汚物がついたおむつやシーツ等のリネン類は、二次感染を防ぐため、適切な取扱いが必要です。取り扱った人の手にウイルスが付着し、感染を拡大させてしまうことがあります。
また、汚れたリネン類を入れる容器等を介して感染が拡大する危険性もあり、十分に注意しましょう。
ポイント
- リネン類に付いた汚物を十分に落とし、0.1%次亜塩素酸ナトリウムに10分間浸すか、85℃で1分間以上になるように熱湯消毒を行い、他のものと分けて、最後に洗濯し、作業後は、必ず石けんを使って手洗いを行いましょう。
- リネン類の運搬や保管に使用する容器・袋は、清掃・消毒を実施し常に衛生的に管理しましょう。
(2)おもちゃの消毒
おもちゃは、手で触れるだけでなく直接口に入れたりすることが多く、おもちゃが汚染されていれば二次感染の原因になります。
ポイント
- おもちゃの消毒は、水洗いをした後、0.02%次亜塩素酸ナトリウム溶液に10分間浸し、最後に水でよく洗い流しましょう。
- おもちゃの素材によっては、色落ちしたり錆びたりすることがあるため、次亜塩素酸ナトリウム溶液での消毒ができない場合は、85℃以上の熱湯に1分間以上浸し乾燥させて使用しましょう。
(3)施設の消毒
施設内で、下痢、おう吐等があった場合、又は従業員の中で、感染が疑われる者がいる場合は、0.1%次亜塩素酸ナトリウムを使用し、普段よりも頻繁に消毒しましょう。
【消毒する場所】
特に施設内でおう吐した場所、トイレは念入りに!
(例)手すり、ドアノブ、水道の蛇口、ベッド回り、床、スリッパ、車椅子、テーブル、イス、引出しの取っ手など。
注意)木製の場合、色落ち等の変質の有無を確認する。
11.調理従事者の注意事項(ノロウイルス以外も含む)
ノロウイルスは少ないウイルス量でヒトに感染するので、感染者のごくわずかなふん便やおう吐物が付着した食品でも、多くのヒトを発症させてしまいます。食品取扱者は自身の健康管理を徹底し、症状がある場合は、食品を直接取り扱う作業をしないようにすることが重要です。
また、日常生活においてノロウイルスに感染しないよう気をつけることが重要です。
なお、調理に関する注意事項は、6-(2)-(5)「調理室内への汚染源の持込防止」にも記載しています。
(1)衛生面での注意点
- (1)ノロウイルスに感染していても症状を示さない(不顕性感染)場合もあるので、調理従事者は、自身がノロウイルスに感染することがないように日常生活においても配慮が必要です。
例えば、食生活では、生ものに注意し、外出後やトイレの後など日常の手洗いも十分に行いましょう。
- (2)おう吐、下痢、発熱などの症状があった場合は、調理の従事は大変危険です。調理前には、調理従事者の健康チェックをしましょう。
- (3)日頃から手洗いを徹底するとともに、食品に直接触れる際には「使い捨ての手袋」を着用しましょう。
- 調理済み食品の盛り付け作業時
- 加熱工程がないか、または加熱条件が85~90℃で90秒間以上にならない食品に直接に触れて調理する時(例:サラダ等和え物の調理、刺身料理、ケーキのカット、果物の皮むき等)
- (4)調理作業時に着用する外衣、帽子、履物のままトイレに入ることは危険です。トイレに行く際、履物を替えるなど工夫しましょう。
- (5)ノロウイルスは下痢等の症状がなくなっても、1週間程度(長いときには1ヶ月程度)ウイルスの排泄が続くことがあります。症状が改善した後も、少なくとも1週間は、直接食品を取り扱う作業をしないようにしましょう。
- (6)調理施設等の責任者(営業者、食品衛生責任者等)は、以下の対策をしましょう。
- 外部からの汚染を防ぐため、来客用とは別に従事者専用のトイレを設置し、ペーパータオルを使用しましょう。
- まかない食の衛生的な管理をしましょう。
- ドアノブ等の手指の触れる場所等の洗浄・消毒をしましょう。
- 検食は、原材料及び調理済み食品を食品ごとに50g程度ずつ清潔な容器(ビニール袋等)に入れ、密封し、-20℃以下で2週間以上保存しましょう。
(2)調理時の注意点
- (1)食材(特にカキ、アサリ、シジミ、ハマグリ等の二枚貝)は、中心部まで十分加熱する。(85~90℃で90秒間以上)
- (2)食品の盛付け時には、使い捨て手袋を使用する。
(3)器具の衛生管理
ノロウイルスに対する有効な消毒方法は、熱湯による消毒(85℃以上で1分間以上の加熱)又は、薬品による消毒(0.02%~0.1%次亜塩素酸ナトリウムに10分以上の浸漬)などがあります。
ポイント
- おう吐物で汚れた食器やふきんなどは、0.1%次亜塩素酸ナトリウムで消毒をしましょう。
- 二枚貝の調理に使用した調理器具等は、確実に洗浄・消毒をしましょう。
- 配膳車や下膳車の歯車の消毒は、0.02%次亜塩素酸ナトリウムを使用しましょう。
器具の洗浄・消毒方法
- (1)十分な水で、よく洗浄する。
- (2)スポンジに中性洗剤又は、弱アルカリ性洗剤をつけて洗浄する。
- (3)十分な水で洗剤を流す。
- (4)85℃以上の熱湯で1分以上の加熱するか、0.02%次亜塩素酸ナトリウムで浸すように拭き、10分後水洗いする。
- (5)他の食品の調理、下処理に使用するか、乾燥後保管する。
(4)井戸水等の汚染防止
貯水槽や井戸などの給水設備が汚染されると、飲み水を介して、大規模な集団感染につながることがありますので注意が必要です。
ポイント
- 井戸水を飲料水として使用する施設は、その周辺の管理や塩素滅菌装置等の給水設備の管理を確実に行いましょう。
- 水質検査を行い、供給する水の安全を確認するとともに、日ごろから残留塩素濃度の測定を行い、記録を保存しておきましょう。
12.入浴の際の感染防止
利用者が入浴するときに、下半身等の洗浄が十分でない場合や入浴中におう吐や排便をしてしまった場合などに、浴槽水を介した感染が起こるおそれがあるので注意が必要です。
ポイント
- 浴槽に入る前には、石けんを使用し身体をよく洗いましょう。
- ノロウイルスに感染し、下痢、おう吐等の症状がある場合や回復後、しばらくの間は、ノロウイルスがふん便中に排泄されるので、シャワーのみにするなど注意しましょう。
- タオル等を共用することは、二次感染の原因になるので避けましょう。
13.利用者・家族の不安解消とマニュアルの見直し等
(1)利用者・家族への説明
施設内で感染症の集団発生があれば、施設利用者及び利用者の家族は、少なからず不安を抱いてしまうので、必要な情報を提供して不安解消に努めてください。
(2)自主管理マニュアルの見直し
各施設で作成したマニュアルを再検討し、対策が十分に盛り込まれているか、必要に応じて更新してください。
(3)発症職員の業務見直し
下痢やおう吐の症状のある職員については、業務内容を見直すなど適切な措置が必要です。
また、通常、感染後7日間程度はふん便中にウイルスを排泄し続けるため、症状が回復した後も、手洗いを徹底するなどの注意が必要です。