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更新日:2023年12月22日
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ノロウイルスは、年間を通して発生しておりますが、特に秋から春にかけて多発する感染性胃腸炎の主な原因物質として知られています。ノロウイルスは、カキなどの二枚貝に起因する食中毒や人から人への感染で拡大します。ノロウイルスによる症状は、比較的軽く、通常は2~3日で回復しますが、感染力が非常に強いため、少量のウイルスを経口的に摂取することで発病する特徴があります。
飲食店営業施設では、調理時における衛生対策に加え、ノロウイルスに感染したお客様への対応も重要です。おう吐物等で、客席などがウイルスに汚染されてしまうと、これを一掃することは、かなりの労力を伴います。おう吐物は、迅速・確実に処理しましょう。
また、おう吐物の付着した布巾や食器などを直接、調理施設内に持ち込まないことや、お客様に食事前の手洗いを呼びかけるなど、今までと違う取組み方が必要です。
感染者から排泄されたノロウイルスは、下水から河川、海に流入し、その水域で養殖、又は棲息するカキやシジミなどの二枚貝に蓄積されます。(貝の中で増殖するわけではありません。)
この二枚貝の生食、あるいは手指等を介してウイルスに汚染された食品を食べることにより食中毒が発生します。
また、感染者のふん便やおう吐物に直接又は間接的に触れたり、おう吐物の飛沫を吸い込むなどして、最終的に口に入ることで感染します。ふん便等で汚染された井戸水による感染報告もあります。
ウイルスが、体内に取り込まれてから発症するまでの潜伏期間は、1~2日です。
主な症状は、下痢、吐き気、おう吐、腹痛、発熱などで、通常3日程度で回復しますが、症状が治っても、1週間程度(長い場合は、1ケ月程度)、ふん便中にウイルスが排泄され続けると言われています。
一年を通じて発生しますが、例年11月頃から発生件数は増加しはじめ、1月から2月が発生のピークとなります。
ノロウイルスは、カキ、アサリ、シジミ等二枚貝の内臓部分に蓄積されることがあります。85~90℃で90秒間以上の加熱で死滅するため、調理は、中心部が85~90℃で90秒間以上になるように加熱することが重要です。
ポイント
ノロウイルスに汚染された食品から、手指や調理器具を介して食中毒が発生します。
二次汚染の防止に努めましょう。
ポイント
カキなどの二枚貝の調理に使用したボール、ざるなどの調理器具やシンク等は、確実に洗浄・消毒してください。
カキのムキ身の入っていた容器の廃棄や容器に入っていた水をシンクに流すときも注意してください。
ポイント
調理器具等の洗浄消毒方法
手洗いは、二次感染予防の基本です。
患者のおう吐物や便には、たくさんのノロウイルスが含まれています。目に見えないノロウイルスは、直接・間接的に手指などに付いて、二次感染の原因となります。
手洗いに際しては、ノロウイルスに対する有効な消毒液はありませんが、石けんを使用することで手の脂肪の汚れを落とし、ノロウイルスを手指から、剥がれやすくする効果があります。
手に付いた魚の臭いは、簡単に取れないものです。手に付いたノロウイルスは、臭いもなく、目にも見えないので、魚の臭いを取るのと同じように、石けんを使ってよく洗いましょう。
また、下痢の時は、トイレットペーパーをいつもより厚くして使用し、手を汚さないようにするとともに、洗面所等で石鹸を使って、普段よりも丁寧に時間をかけて手を洗いましょう。
なお、炊事場でトイレの後の手洗いを行うと、食品への二次汚染の原因となりますので注意してください。
調理作業の開始前、食品の盛り付け作業の前、トイレに行った後、食事や休憩の後・生肉、魚介類(特に、二枚貝)、泥付きの野菜など食中毒細菌やウイルスに汚染されている可能性のある食材を取り扱った後
手洗いの前の準備
汚れが残りやすいところ
手洗い方法
客席などで、おう吐等があった場合、ノロウイルスを疑って適切に処理することは、自分自身への感染防止と、施設内への汚染拡大を防止するために重要です。
また、おう吐物を処理した後48時間は、自分が感染していないか注意してください。
処理セット
処理方法
ノロウイルスに対して有効な消毒薬は、「次亜塩素酸ナトリウム」です。次亜塩素酸ナトリウムの濃度を調整して使用してください。
塩素系漂白剤として市販されている次亜塩素酸ナトリウムの濃度は、一般的に5%~6%です。(家庭用塩素系漂白剤ハイター、ブリーチなど)
不明の場合は、購入店で確認してください。
(1)嘔吐物・便で汚染された場所や衣類の消毒〔0.1%:市販品(5%)の50倍希釈5%×50分の1=0.1%(1000ppm)〕
原液濃度 |
商品(原液)の量 |
水の量 |
出来上りの量 |
---|---|---|---|
5% |
10ml(ペットボトルのキャップ2杯) |
490ml |
500ml |
(2)通常時の調理器具・床・ドアノブなどの消毒〔0.02%:市販品(5%)の250倍希釈5%×250分の1=0.02%(200ppm)〕
(注)患者がいない場合
原液濃度 |
商品(原液)の量 |
水の量 |
出来上りの量 |
---|---|---|---|
5% |
2ml(ペットボトルのキャップ半杯) |
498ml |
500ml |
(注1)次亜塩素酸ナトリウムは、古くなったり、保存状態が悪ければ、塩素成分が消失することがありますので、商品の使用上の注意事項をお読みください。
(注2)消毒液を保管しなければならない場合は、消毒液の入った容器は、誤って飲むことがないように、消毒液であることをはっきりと明記して保管しましょう。
施設内の客席、トイレ周辺等は、ノロウイルスに汚染されている可能性があるので、定期的に消毒しましょう。
また、ノロウイルスは、大きさが30ナノメートルと言われています。おう吐物等の拭き取りと消毒が徹底されていない場合は、乾燥した後にウイルスが室内に拡散し、感染が拡大するおそれがあります。おう吐物等を適切に処理し、また、室内の適正な換気を行うことが大切です。
(注)(1ナノメートルは100万分の1ミリメートル)
特に施設内でおう吐した場所、トイレは念入りに!
(例)客席、ドアノブ、水道の蛇口、トイレの下履き、床、テーブル、イス、引出しの取っ手など。
(注意)木製の場合、色落ち等の変質の有無を確認する。
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