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更新日:2023年12月22日

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飲食店でのノロウイルス対策

目次

  1. ノロウイルス
  2. ウイルスの特徴
  3. 感染経路
  4. 症状について
  5. 食中毒の予防と対策
  6. 手洗い徹底を!
  7. おう吐物等の処理
  8. 消毒薬の作り方
  9. 営業施設の清掃・消毒

 

1.ノロウイルス

ノロウイルスは、年間を通して発生しておりますが、特に秋から春にかけて多発する感染性胃腸炎の主な原因物質として知られています。ノロウイルスは、カキなどの二枚貝に起因する食中毒や人から人への感染で拡大します。ノロウイルスによる症状は、比較的軽く、通常は2~3日で回復しますが、感染力が非常に強いため、少量のウイルスを経口的に摂取することで発病する特徴があります。
飲食店営業施設では、調理時における衛生対策に加え、ノロウイルスに感染したお客様への対応も重要です。おう吐物等で、客席などがウイルスに汚染されてしまうと、これを一掃することは、かなりの労力を伴います。おう吐物は、迅速・確実に処理しましょう。
また、おう吐物の付着した布巾や食器などを直接、調理施設内に持ち込まないことや、お客様に食事前の手洗いを呼びかけるなど、今までと違う取組み方が必要です。

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2.ウイルスの特徴

  1. 感染力が強く、年齢を問わず、少量で人に感染します。
  2. 人だけに感染し、人の腸管内で増えます。
  3. 食品で増殖するわけではないので、食品の鮮度に関係なく感染します。
  4. 有効な消毒方法は、85~90℃で90秒間以上の加熱、又は、次亜塩素酸ナトリウムです。(アルコールや逆性石けんによる消毒効果はほとんどなく、従来の衛生対策が通用しません。)
  5. このウイルスに効果のある治療薬はありません。
  6. 何回でも感染します。

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3.感染経路

感染者から排泄されたノロウイルスは、下水から河川、海に流入し、その水域で養殖、又は棲息するカキやシジミなどの二枚貝に蓄積されます。(貝の中で増殖するわけではありません。)

この二枚貝の生食、あるいは手指等を介してウイルスに汚染された食品を食べることにより食中毒が発生します。

また、感染者のふん便やおう吐物に直接又は間接的に触れたり、おう吐物の飛沫を吸い込むなどして、最終的に口に入ることで感染します。ふん便等で汚染された井戸水による感染報告もあります。

1.食中毒の場合(食材⇒ヒト、ヒト⇒食品の汚染⇒ヒト)

  • (1)ノロウイルスを蓄積するカキ等の二枚貝を生又は加熱不十分で食べた場合
  • (2)二枚貝などの下処理の際、他の食品を二次汚染した場合
  • (3)ノロウイルスに感染した調理従事者が、直接、手指を介して食品を汚染した場合
  • (4)ノロウイルスに汚染された水を飲用した場合

2.感染症の場合(ヒト⇒ヒト)

  • (1)汚物処理後の手洗が不十分な場合(特に口腔ケア等の際に注意)
  • (2)感染者のおう吐物やふん便の処理時に飛沫が口に入った場合
  • (3)ウイルスで汚染された箇所(おもちゃを含む)を、触ることにより間接的に手指が汚染された場合
  • (4)汚物が乾燥して塵となり、空気中に漂ったウイルスが口に入った場合

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4.症状について

症状

ウイルスが、体内に取り込まれてから発症するまでの潜伏期間は、1~2日です。
主な症状は、下痢、吐き気、おう吐、腹痛、発熱などで、通常3日程度で回復しますが、症状が治っても、1週間程度(長い場合は、1ケ月程度)、ふん便中にウイルスが排泄され続けると言われています。

発生時期

一年を通じて発生しますが、例年11月頃から発生件数は増加しはじめ、1月から2月が発生のピークとなります。

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5.食中毒の予防と対策

(1)カキなどの二枚貝を生食で提供することは、控えたほうが無難です。

(2)カキなどを加熱調理する際の注意事項

ノロウイルスは、カキ、アサリ、シジミ等二枚貝の内臓部分に蓄積されることがあります。85~90℃で90秒間以上の加熱で死滅するため、調理は、中心部が85~90℃で90秒間以上になるように加熱することが重要です。

ポイント

  • 冷蔵のカキを使ったカキフライでは、180℃で2分間揚げると85℃で1分間以上の条件を満たすと言われています。連続して揚げる時や一度に大量に揚げる時は油温の低下に注意しましょう。
  • 冷凍カキは、条件が異なるので、調理時に中心温度を測定して、85~90℃で90秒間以上になるようにしましょう。

(3)食品の取扱注意事項

ノロウイルスに汚染された食品から、手指や調理器具を介して食中毒が発生します。
二次汚染の防止に努めましょう。

ポイント

  • 食品の盛り付け作業時には、使い捨て手袋を使用するなど、食品に直接触れないよう注意しましょう。
  • 従事者専用のトイレを利用するようにし、ペーパータオルを使用しましょう。
  • 調理作業時に着用する外衣、帽子、履物のままトイレに入ること危険です。トイレに行く前は、履物を替えるなど工夫しましょう。
  • 症状が回復しても、1週間程度(長い時には1ヶ月程度)は、ウイルスの排泄が続くことがあります。少なくとも1週間程度は、直接食品を取り扱う作業はしないように心がけましょう。
  • 検食は、可能な限り、原材料及び調理済み食品ごとに50g程度づつ清潔な容器(ビニール袋等)に入れ、密封し、-20℃以下で2週間以上冷凍保存しましょう。D

(4)調理器具等への汚染防止

カキなどの二枚貝の調理に使用したボール、ざるなどの調理器具やシンク等は、確実に洗浄・消毒してください。
カキのムキ身の入っていた容器の廃棄や容器に入っていた水をシンクに流すときも注意してください。

ポイント

  • 調理の用途別に、包丁やまな板などを区別してください。
  • 二枚貝の調理に使用した調理器具等は、0.02%~0.1%次亜塩素酸ナトリウム又は、熱湯(85℃以上で1分間以上)で消毒してください。

調理器具等の洗浄消毒方法

  • 1.十分な水で、よく洗浄する。
  • 2.スポンジに中性洗剤又は、弱アルカリ性洗剤をつけて洗浄する。
  • 3.十分な水で洗剤を流す。
  • 4.熱湯(85℃で1分間以上)で加熱をするか、0.02%~0.1%次亜塩素酸ナトリウムで浸すように拭き、10分後水洗いする。
  • 5.乾燥後保管する
  • 6.客席でおう吐があった場合
    ノロウイルスに汚染された客席等から、おう吐物の付着した食器、お盆、布巾などを厨房内に入れることは危険です。入れる前に、他の手洗い場やバケツなどを利用し、0.1%次亜塩素酸ナトリウムで消毒をしましょう。
  • 7.健康管理
    おう吐、下痢、発熱などの症状のある人が、調理に従事することは大変危険です。調理前には、調理従事者の健康チェックをしましょう。
    また、ノロウイルスに感染しても症状を示さない(不顕性感染)場合もあるので、調理従事者は、自身がノロウイルスに感染することがないように、日常生活においても注意が必要です。例えば、食生活では生ものに注意し、外出後やトイレの後など日常の手洗いも十分に行いましょう。
  • 8.井戸水等の汚染防止
    貯水槽や井戸水が汚染されると、飲み水や使用水を介して、大規模な集団感染につながることがあるので注意が必要です。
    • 井戸水を飲料水等として使用する施設は、井戸周辺の管理や塩素滅菌装置等の管理を確実に行いましょう。
    • 水質検査を行い、供給する水の安全を確認するとともに、日ごろから残留塩素濃度の測定を行い、記録を保存しておきましょう。
  • 10.対応マニュアルの整備等
    • 施設の対応マニュアルを整備しましょう。
    • 対策が十分に盛り込まれているか、各施設で作成したマニュアルを再検討し、必要に応じて更新してください。
    • 下痢やおう吐の症状のある調理従事者については、業務内容を見直すなど適切な措置が必要です。また、通常、感染後7日間程度はふん便中にウイルスを排泄し続けるため、症状が回復した後も、手洗いを徹底するなどの注意が必要です。

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6.手洗いの徹底を!

手洗いは、二次感染予防の基本です。

患者のおう吐物や便には、たくさんのノロウイルスが含まれています。目に見えないノロウイルスは、直接・間接的に手指などに付いて、二次感染の原因となります。

手洗いに際しては、ノロウイルスに対する有効な消毒液はありませんが、石けんを使用することで手の脂肪の汚れを落とし、ノロウイルスを手指から、剥がれやすくする効果があります。

手に付いた魚の臭いは、簡単に取れないものです。手に付いたノロウイルスは、臭いもなく、目にも見えないので、魚の臭いを取るのと同じように、石けんを使ってよく洗いましょう。

また、下痢の時は、トイレットペーパーをいつもより厚くして使用し、手を汚さないようにするとともに、洗面所等で石鹸を使って、普段よりも丁寧に時間をかけて手を洗いましょう。

なお、炊事場でトイレの後の手洗いを行うと、食品への二次汚染の原因となりますので注意してください。

手洗いが必要な時

調理作業の開始前、食品の盛り付け作業の前、トイレに行った後、食事や休憩の後・生肉、魚介類(特に、二枚貝)、泥付きの野菜など食中毒細菌やウイルスに汚染されている可能性のある食材を取り扱った後

手洗いの方法

手洗いの前の準備

  • 爪は短く切っていますか?)
  • 腕時計や指輪をはずしていますか?

汚れが残りやすいところ

  • 指先
  • 指の間
  • 親指の周り
  • 手首
  • 手のしわ

手洗い方法

  • (1)手を水で濡らし、石けんをつけます。
    (注)石けんには、ノロウイルスの感染力を失わせる効果はありませんが、手の脂肪等の汚れを落とすことにより、ノロウイルスを手指からはがれやすくする効果があります。
  • (2)腕から指先まで、時間をかけて、ていねいに、こすり洗いします。特に、指の間・指先をよく洗います。
  • (3)十分に水洗いし、石けんをよく洗い流します。
  • (4)ペーパータオル又は清潔なタオルで、手を拭きます。
  • 手洗い図解(PDF:551KB)

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7.おう吐物等の処理

客席などで、おう吐等があった場合、ノロウイルスを疑って適切に処理することは、自分自身への感染防止と、施設内への汚染拡大を防止するために重要です。
また、おう吐物を処理した後48時間は、自分が感染していないか注意してください。

おう吐物処理セット

処理セット

  • (1)ペーパータオルなど
  • (2)使い捨てマスク
  • (3)使い捨て手袋(無ければ、ビニール袋で代用)
  • (4)使い捨てエプロン等
  • (5)汚物入れ用ビニール袋
  • (6)専用バケツ
  • (7)塩素系漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム含有の消毒液)
  • (8)薬用石けん 
  • おう吐物の処理セット(図解付き)(PDF:122KB)

おう吐物の処理方法

処理方法

  • (1)汚染場所に関係者以外の人が近づかないようにします。
  • (2)処理を始める前に、使い捨て手袋とマスク、エプロンなどを着用する。
  • (3)おう吐物をペーパータオルなどで、外側から内側にむけて、静かにふき取る。
  • (4)おう吐物とふき取りに使ったペーパータオルなどをビニール袋に入れ、0.1%次亜塩素酸ナトリウムを加えてから、袋の口をしばる。
  • (5)おう吐物をふき取った場所を、0.1%次亜塩素酸ナトリウムに浸した別のペーパータオルなどでふく。
  • (6)次亜塩素酸ナトリウムは腐食性があります。鉄などの金属は錆びることがありますので、ふき取り後、10分程度待って水で浸した別のペーパータオルでふき取る。
  • (7)汚染物と消毒に使用したものの全てを別のビニール袋に入れ、袋の口をしばり廃棄する。
  • (8)エプロンなどの衣類におう吐物が付着した場合は、0.1%次亜塩素酸ナトリウムに10分間浸すか、85℃で1分間以上になるように熱湯消毒を行い、他のものと分けて最後に洗濯する。
    (次亜塩素酸ナトリウムにより、脱色される場合があり、また熱湯により、衣類が傷む場合があります。)
  • (9)手は石けんを使用し、よく、もみ洗いする。
    (注)処理中・処理後は、窓を開ける等、換気を十分にしましょう。
  • おう吐物の処理方法(PDF:162KB)

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8.消毒薬の作り方

ノロウイルスに対して有効な消毒薬は、「次亜塩素酸ナトリウム」です。次亜塩素酸ナトリウムの濃度を調整して使用してください。
塩素系漂白剤として市販されている次亜塩素酸ナトリウムの濃度は、一般的に5%~6%です。(家庭用塩素系漂白剤ハイター、ブリーチなど)
不明の場合は、購入店で確認してください。

(1)嘔吐物・便で汚染された場所や衣類の消毒〔0.1%:市販品(5%)の50倍希釈5%×50分の1=0.1%(1000ppm)〕

嘔吐物・便で汚染された場所や衣類の消毒

原液濃度

商品(原液)の量

水の量

出来上りの量

5%

10ml(ペットボトルのキャップ2杯)

490ml

500ml

(2)通常時の調理器具・床・ドアノブなどの消毒〔0.02%:市販品(5%)の250倍希釈5%×250分の1=0.02%(200ppm)〕
(注)患者がいない場合

通常時の調理器具・床・ドアノブなどの消毒

原液濃度

商品(原液)の量

水の量

出来上りの量

5%

2ml(ペットボトルのキャップ半杯)

498ml

500ml

(注1)次亜塩素酸ナトリウムは、古くなったり、保存状態が悪ければ、塩素成分が消失することがありますので、商品の使用上の注意事項をお読みください。

(注2)消毒液を保管しなければならない場合は、消毒液の入った容器は、誤って飲むことがないように、消毒液であることをはっきりと明記して保管しましょう。

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9.営業施設の清掃・消毒について

施設内の客席、トイレ周辺等は、ノロウイルスに汚染されている可能性があるので、定期的に消毒しましょう。
また、ノロウイルスは、大きさが30ナノメートルと言われています。おう吐物等の拭き取りと消毒が徹底されていない場合は、乾燥した後にウイルスが室内に拡散し、感染が拡大するおそれがあります。おう吐物等を適切に処理し、また、室内の適正な換気を行うことが大切です。

(注)(1ナノメートルは100万分の1ミリメートル)

ポイント

  • 感染予防のため、普段からヒトの手の触れる箇所は、0.02%次亜塩素酸ナトリウムを使用して消毒するようにしましょう。
  • 客席などの営業施設内で、下痢、おう吐等があった場合又は、従業員の中で、感染が疑われる者がいる場合は、0.02%~0.1%次亜塩素酸ナトリウムを使用し、普段よりも頻繁に消毒しましょう。

消毒する場所

特に施設内でおう吐した場所、トイレは念入りに!

(例)客席、ドアノブ、水道の蛇口、トイレの下履き、床、テーブル、イス、引出しの取っ手など。

(注意)木製の場合、色落ち等の変質の有無を確認する。

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お問い合わせ

健康福祉局保健部生活衛生課 食品衛生係

〒892-8677 鹿児島市山下町11-1

電話番号:099-803-6885

ファクス:099-803-7026

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